ボランティア募集を批判するWebデザイナーたちの話

ボランティア募集を批判するWebデザイナーたちの話 – …の話をしよう。久しぶりのbLog更新です。

この件、静観しようと思っていたのですが、

こんな記事がニュースサイトで紹介されたりしてるので、堪忍袋の緒が切れました。

 

そもそもの論点が的外れ

要するに、こういうことですよね?

仕事を探してるWebデザイナーさんがある日、区のHPで「Webデザイナー募集」のリリースを発見!\(^O^)/
嬉々として詳細を見てみるとなんと「報酬 … なし」。
なんだこりゃ?!なめとんのかー!!苦情じゃ苦情!!(# ゚Д゚)

気持ちはわかります。あのリリースでは私も同じように感じます。
だが、しかしです。

たぶん違うんです。誤解なんです。

件のリリースはこちらです。

報道発表とか大々的にしちゃってて、あたかも職業デザイナーを募集してるかのように見えますね。それが誤解の要因です。

そこで、リリース中の「デザイナー」の記述を「デザイン・ボランティア」、あるいは「ボランティア・デザイナー」と読み変えるとどうでしょう?
だいぶ印象が変わりませんか?

これはリリース作成担当者の大ポカです。
格好つけずに最初から「ボランティア」を明記すれば良かったんだと思います。
協力してくれる人、手伝ってくれる人を募集したいとはっきり書けば良かったんです。
そうすれば、必死に仕事を探してるようなデザイナーさんの目を引くことも無かったでしょうから、彼らを怒らせることにもならず、何も問題にはならなかったでしょう。

 

行政サービスを支えているボランティア

もしかしたら知らない人が多いのでしょうか…。
自治体行政サービスはそれはそれはたくさんのボランティアの人たちに支えられてるんですよ?

たとえば。
私の母は20年以上、本の音読のボランティアをやってます。
地元自治体による視覚障害者向けの行政サービスの1つです。
本を音読して録音したり、時には直接対面で朗読したり…。
けっこうな時間と労力を割いていますが、無報酬です。

たとえば。
私もWeb業界ですしDTPデザインをやってたこともあります。
子どもの小学校のPTAでは広報紙を作ってました。もちろん無報酬で。
同じ広報チームにはプロのカメラマンもいて運動会などの催し物で写真撮ってました。もちろん無報酬で。

たとえば。
保育園の保護者会のためにメーリングリストを構築、運営したり。
そういえば保護者会用のWebシステム構築したこともありました。
もちろん無報酬で。

こんなのは氷山の一角です。
まあ、PTAや保護者会は規模も影響力も違いますから事例としては不適切かもしれませんが、現実に、プロフェッショナルが無報酬で手伝ってくれるからこそ成り立ってるサービスがたくさんあるんです。

にもかかわらず、
地域のために何かしよう、
自分の能力を地域のために役立てたい、
そういう人たちを募集することが批判されるというのはナンセンス極まりないです。

 

ボランティアに参加できる「余裕」と「余力」

デザイナーではありませんが私もWeb業界に身を置いていますので、批判する人たちの気持ちはよくわかります。
特にリーマン・ショック以降はホント厳しい状況。
単価は下がる、仕事は減る、顧客は無茶を言う。
なんとかギリギリ食べていければ御の字です。

そこへ公の組織が無報酬でデザイナー募集などをしようものなら、神経を逆なでされて感情的になるのもうなづけます。

しかし。

だからといって行政のボランティア募集に噛みつくのは、単なる八つ当たりです。
どんな理屈を並べても正論にはなり得ません。

こんな厳しい状況下でも、ちゃんと良い仕事をしてちゃんと稼いで普通に暮らしているデザイナーだってたくさんいます。
行政のボランティアというものは、そういう余裕のある人たちに地域に貢献してもらおうというものなのですから、余裕の無い人が目くじらを立てるのは筋違いだと思います。

ちなみに私も「余裕が無い」側です。
ボランティアに参加できるくらいの「余裕」と「余力」ができるように、黙々と日々精進です。

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